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いまやコスメと育児の話ばかりよ

恋愛漫画なのに常識人だからこそ面白い「NとS」

金田一蓮十郎さんの新刊が面白かったよーって話です。

NとS(1) (KC デザート)

NとS(1) (KC デザート)


常識的な人だからこそ面白い

金田一蓮十郎さんの主人公って、大体が「常識的な人」なんですよね。
だからこそ、面白い。
面白い漫才も「ボケ」よりも的確な「ツッコミ」があるから。それと同じ感じ。
これは『ジャングルはいつもハレのちグゥ』からずっと同じですね。
主人公が常識的なので、周りのトラブルに巻き込まれてしまったり、よかれと思ったことが裏目にでてピンチになってしまったり、そんな展開が面白い作品たちです。

ふたりとも常識的だから面白い

新刊は「女子高生✕教師」モノ。
最初は私、「ええ……教師と生徒って一番アカンやつやん……」と思っていました。
はいはい、どうせ「相手は私の担任の先生! 駄目ってわかってる! でもこのオモイ、止められない!」みたいな感じでしょ? みたいな。


いやでもまて、金田一蓮十郎氏が描くのだぞ?
一筋縄では行かないのはわかってるぞ?


と思って読んでみました。



そしたらまぁ、主人公の女子高生は金田一蓮十郎さんの主人公のパターンどおり、しっかり常識人なんですよ。
今回、なんとその相手の先生も常識人。
困ったことに(?)、ふたりとも常識人なんですよ!


生徒と教師ものなんだけど、4月の赴任よりもその前に二人は出会っていて、アクシデント的に「生徒教師モノ」になっちゃってるっていう。
そして、お互いが「先生と生徒」ってわかってからちゃんと、けじめをつけるんですよ。
恋愛漫画なのに! 
浮かれてない!
えーーーーめっちゃ偉いじゃーん!!!


もうこの時点で、「駄目だってわかってるけどトメラレナイこのキモチ!」という今までのありきたりな少女漫画展開をなぎ倒してます。
えらい、えらすぎる。
なんと理性的な。

でも面白いのが、常識的であることと主人公が「女子高生」(初彼氏)ならではの浮かれ気分少しと混ざって、なかなかうまく離れられないっていうところ。
そこが「主人公が可愛いなぁ」って読者に思わせる場面でもあるし、笑える部分でもある。
こう、冷静につっこめば「ワキが甘い」っていう部分は確かにあるんですけど、それを読んでいる最中は感じさせないっていう、自然な物語運びはさすがだなぁと思います。
いやそりゃ、最初の設定の「彼氏が担任の先生として赴任してくる」っていうこと自体が「そりゃ少女漫画ですよねぇ!」っていうことなんですけど。
それをどう現実的に調理していくかっていうのが、すごくうまいんですよね。
「ああ、ありそう!」っていうのに持っていく。
ここは「ありえないけどありそう」二重生活の『ニコイチ』とか『ライアー✕ライアー』でも見せてた技ですね。


私、ドラマでも漫画でもこういう「イケナイ関係モノ」って得意ではなくて。
例えば不倫モノのドラマなら「この人は今までの相手とは違うものをくれる……!」とか勝手に盛り上がって、一度は別れを選ぶんだけど、なんか道端でばたっと偶然出会ってしまって、「やっぱり離れられない!」みたいな思い込みを激しくして、美男美女カップルが見つめ合って、目が潤んじゃったりしちゃって、主題歌の切ない系バラードBGMがすごくいいタイミングで流れ出して、はいキス! みたいな!!!
ふたりはこの雰囲気流されちゃいました☆ っていうのに私は「んなワケねぇだろ!! 別れるって言ったじゃん!!!??? 常識で考えろ! 物事を! 常識で!!!(机バンバン」ってついて行けないんですよ。


それならいっそ、別になにかを与える、与えられるわけじゃないけどっていう感じのほうがすんなり読めるんですよね。
シギサワカヤ氏とか。


箱舟の行方 (楽園コミックス)

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誰にも言えない (楽園コミックス)

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そんな人間でも、面白く読めちゃうこの少女漫画となっております。

末っ子感も納得

そういやこの主人公、めずらしく「次女」なんですよね。
いままでの金田一蓮十郎さんの漫画って、『ライアー✕ライアー』の湊や『ニコイチ』のまことさんと長男長女が多かったイメージなんですけど、今回「お姉ちゃん」がいるんです。
これも主人公がちょっとそそっかしくて少し早とちりしやすい性格である、「末っ子感」の納得感が増すちゃんとした材料というか。
そこも考えられているのかなーなんて思ってます。


今後はクセが強すぎそうな演劇部の人々がどう関わってくるのか不安に少し感じましたが、まぁ人数多くてもきちんとサバけるというの『ライアー✕ライアー』で大丈夫だとわかってるな、と。
まさか玲様に再会するとは。

ライアー×ライアー(10) (デザートコミックス)

ライアー×ライアー(10) (デザートコミックス)


あと平井くん!
多分モブでは終わらないであろう平井くん!
気になるね平井くん!


ということで、続きを楽しみにしたいです。