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いまやコスメと育児の話ばかりよ

少女漫画のクール系女子とおかん系男子の組み合わせと家族関係

またマンガばかり読んでいるのだが、ふと思ったことがある。
「最近の少女漫画はクール系女子が多いな」→「そんで男主人公、男目線のものも多いな」→「って言うか片親の主人公多いな」ということ。

クール系主人公&男の子目線

思いついたのが、

となりの怪物くん』の雫ちゃん。


たいようのいえ』のまお。


ラストゲーム』のみこっちゃん。



あと別枠だけど『おはよう、いばら姫』のしづ。



相手は

雫   :ハル(非コミュ
まお  :ヒロ(おかん系)
みこっちゃん:柳 (おかん系)
しづ    :哲(おかん系)


ここで、「女子がクールで非コミュ」だから「世話焼きで家事スキルの高い男(相手)が頑張って話が進んでいく」が大筋であることがわかります。
ただ『となりの~』だけは違って、お互い非コミュという斬新なマンガです。
ラストゲーム』のみこっちゃんには大学で「しおりちゃん」という世話焼きの親友ができるけど、「怪物くん」はその後の友人夏目ちゃんも非コミュだし、非コミュばかりが集まるというやっぱり斬新な少女漫画だった……。

家庭の複雑さ

雫  :社会人としてダメな父親の代わりに母親が働き、母親とのふれあいが少ない
まお :母親が不倫して出て行って、残された父親と険悪すぎヒロの家にお世話になるという複雑さ
みこっちゃん:父親事故死。母親忙しいので孤独
しづ  :お嬢様だけど幽閉状態


雫とみこっちゃんは「しっかりしなければならない長女(一人っ子)」なので、クールにならざるを得ない状況だった。
勉強して進学して就職して自立することが一番の目標で、恋愛とか友情を会得(?)するヒマがなかったといえる。
まおは一番ヘビーな家庭環境。その後父親の再婚相手が出てくるものの、物語序盤は家庭が機能していないというか家庭がないので、そりゃクールにもなるわ。
しづはクールというか、何も知らない真っさらな状況でちょっと別枠。だけどこちらもお金持ちのお家だからこその複雑さがありそう(2巻まで刊行)。


10年代はこうなのか

この家庭の複雑さはなんだろう。
もうこれは3組に1組は離婚するという現代世相を表しているのか? とすら思う。


セーラームーン』みたいにやさしいパパとおやつを作るママ、賑やかな弟。
そんな円満な家庭が4つも作品があってどこにもないぞ(まぁ読者の対象年齢違うけど)。
いや4作品という例が少なすぎるのか?
でも別枠に挙げた『おはよう、いばら姫』なんて男の哲の方も母親事故かなんかで入院して目を覚まさないからどっちも大変だぞ。
あ、「怪物くん」もハルの方も家庭複雑でいとこの家転がり込んでるわ。


時代を遡り、『ママレード・ボーイ』。
こちらも家庭はかなり複雑なのだが、あれは主人公が元気でクール系じゃない。
というのは人生の途中から家庭が複雑になるからだろうか。
もし今あの世界観を描くならもしかして遊が『おかん系』で、主人公がクール系だったのかもしれない。
(ただ続編『little』も男の子の方がクール系という、様式美である。集英社だから?)


また『ライアー✕ライアー』も親が再婚して連れ子同士という設定だけど、こちらは相手は男がクール系という、ママレと一緒。

ただこれは作者の金田一蓮十郎さんの歴代主人公が「苦労人」なので、もしそうじゃなかったらこちらもクール系になっていたかも?

おかん系が王子様

クールな男の子と仲良くなるために頑張る女の子て、結構な少女漫画の王道だと思うのですが、いまは逆なんですよね。
確かに読んでいると


・男の子なのに家事ができる→ギャップでときめく
・男の子なのによく周りをみている→なのに主人公への特別感
・クールで不器用な主人公がかわいい→出来の悪い子を見守りたくなる感
・男の子を応援したくなる


んですよね。
人間関係が不器用すぎて主人公の女の子に反感を持つこともないし、それに近づこうとする男の子は「不幸」を背負っているように見えて「頑張れ!」と応援したくなる。
主人公に反感を持つことがないということは感情移入しやすいともいえ、「自分(主人公)はなにもしないけど、かっこいい男の子が自分のために頑張ってくれる」というお姫様気分が味わえます。
イケメンが私のために料理してくれてる! 


ただ、この場合現実的にはみこっちゃんも雫もかなり賢く、勉強ができるし問題を一人で対処できる程度の精神的に大人であり、まおは携帯小説でファンがいるほどの文章力と自己表現力を持っている。
社会性とか協調性はあまりないけど、それなりの「努力」や「才能」は持ち合わせているのが主人公。
けれども家庭環境のヘビーさとか、相手の男の子の頑張り具合でそれが薄れているんです。


もう「何も特技はないけど、○○くんを思う気持ちは誰よりも負けない!」みたいな主人公は通用しないし、何も特技がないならそこを伸ばすために頑張る姿を描く漫画じゃないと支持されない。
もし前者のような主人公なら心理描写をめちゃくちゃ細かく丁寧に、さらに周りの登場人物たちもしっかり描かなくちゃいけない(『青春しょんぼりクラブ』とか)。

またなにもない主人公としては『うそつきリリィ』のひなた(ここは円満な家庭)がそうなんでうすけど(彼女はとんでもないツッコミスキルを持っているが)、その「もっていない自分」が嫌になることで終盤大きな展開を迎えるので、主人公の恋心のひたむきさだけではもう誰も幸せにならないようです。

うそつきリリィ 1 (マーガレットコミックス)

うそつきリリィ 1 (マーガレットコミックス)


漫画の世界ですら「ありのまま」では支持されないのですから、現実世界の私たちはもっとなにかしないといけないということでしょうか……。


※同じく、小村さんの『Full Dozer』もクール系女子(ちょっと違うか……?)におかん系男子の組み合わせ(むしろ男の子主人公)なんですけど、こちら恋愛漫画のようで芸能界漫画なので今回除外。


さらにもっと大人の漫画になるとその「ありのまま」加減をダメ出しされるようになって、アラサーの心をぐさぐさ刺してきますから。
『東京タラレバ娘』とか『ダメな私に恋してください』とか……。


えーと、脱線してこの話の着地点をどこに持って行こうかもはや見失っております、どうしましょう。


・クール系女子は家庭環境ゆえの性格なのか
・クール系女子の相手もクールだと話が進まないからおかん系なのか


が今回疑問に思った点だったのですが、それを解決するにはやっぱりもっと漫画を読んでサンプル数を増やさないとっていうかまぁ別に私が学者でも研究者でも編集者でも漫画家でもないただの暇人なので、その疑問をとく必要すらなく、あ、やっぱりオチないわ (完)。